愛車の美観を損なうマフラーのサビの主な原因
バイクの外観を大きく左右するパーツであるマフラーですが、常に過酷な環境に晒されているため、車体の中でも非常にサビが発生しやすい部位として知られています。サビが発生する最大の要因は、走行時の超高温状態とエンジン停止後の冷却によって生じる、金属の急激な温度変化のサイクルにあります。
過酷な環境と水分がサビを進行させるメカニズム
エンジンから排出されるガスは非常に高温で、マフラー根元のエキゾーストパイプ付近は特に激しい熱に晒されます。そこに走行中の雨水や泥水が直接かかると、急激な冷却と水分の付着が同時に起こり、金属の酸化が一気に進行してしまうのです。また、冬場の融雪剤や海岸沿いの潮風に含まれる塩分なども、金属の腐食を急激に早める原因となります。
「ちょい乗り」や「もらいサビ」にも要注意
さらに注意したいのが、数分しか乗らない「ちょい乗り」を繰り返すケースです。短時間の走行ではマフラー全体が十分に温まりきらないため、排気ガスに含まれる水分がマフラー内部で結露として残り、内部からサビが進行してしまいます。また、サビに強いとされるステンレス製であっても、道路上の鉄粉が付着して錆びる「もらいサビ」が発生することは決して珍しくありません。
サビを放置するとマフラーに穴が開く危険性も
初期の薄い表面サビであれば見た目の問題だけで済みますが、長期間放置して腐食が金属の深部まで進行すると、最終的にはマフラー本体に穴が開いてしまいます。穴が開くと排気漏れを起こして不快な騒音が発生するだけでなく、車検に不合格になったりする致命的なトラブルへと発展するため、日頃からのチェックが欠かせません。
頑固な腐食を安全に落とすために準備すべき必須アイテム
マフラーのサビを綺麗に落とし、元の美しい状態に復元するためには、適切な道具をしっかりと揃えておくことが成功の条件となります。まず物理的にサビを削り落とすためのワイヤーブラシですが、硬いスチール製は深い傷が入りやすいため、メッキやステンレスの表面には真鍮製の柔らかいブラシを使用するのが安全です。また、表面を滑らかに整えるための耐水ペーパーも複数枚揃えておきましょう。荒削り用の400番台、中間仕上げ用の800番台、最終仕上げ用の1000番台を順番に使うと美しく仕上がります。
サビ取り剤と安全装備で効率よく作業を進める
サビが広範囲に及んでいる場合は、化学反応でサビを溶かす市販のサビ取り剤を併用すると作業効率が劇的に向上します。初心者には、金属への攻撃性が低く扱いやすい中性タイプや、液垂れしにくいジェル状の製品がおすすめです。そして、削りカスを洗い流すパーツクリーナーと、作業後の表面を保護するための耐熱ワックスや耐熱塗料も忘れずに準備しましょう。作業中は手を保護する厚手のゴム手袋や保護メガネといった安全装備も必ず装着してください。
輝きを取り戻すための正しい研磨手順
必要な道具が揃ったら、まずは下準備としてマフラー全体をたっぷりの水で洗い、表面の泥や砂ぼこりを完全に落としきります。汚れが残ったまま擦り始めると、細かな砂粒が不要な傷を広げてしまうため、この事前の洗浄工程は省いてはいけません。水分を拭き取ったら、ワイヤーブラシや目の粗い400番の耐水ペーパーを使って、目立つ赤サビを削り落としていきます。耐水ペーパーを使う際は、必ず水や潤滑防錆スプレーをかけながら擦ることで、削りカスが詰まらずスムーズに研磨できます。
徐々に目を細かくして仕上げる研磨のコツ
大まかなサビが取れて金属の地肌が見えてきたら、今度は800番、1000番と徐々にペーパーの目を細かくしていき、表面の削り傷を丁寧に滑らかに整えていきます。サビ取り剤を使用する場合は、説明書の指定通りに液剤を塗布して放置し、浮き上がってきたサビをウエスで優しく拭き取るか水で洗い流す作業を繰り返します。
サビの再発を防ぐコーティングと焼き付け
サビを完全に取り除いた後の金属表面は無防備な状態であり、すぐに対策が必要です。最終仕上げとしてパーツクリーナーで表面の油分を完全に脱脂したのち、素材に合わせたコーティングを行います。ステンレス素材であれば耐熱仕様のワックスを丁寧に塗り込み、スチール製であれば市販の耐熱スプレー塗料を薄く何度も塗り重ねて塗装します。耐熱塗料で再塗装を行った場合は、スプレーが完全に乾いた後にマフラーを取り付け、エンジンをかけて30分ほどアイドリングさせてください。排気熱で塗料が焼き付けられて硬化し、強固な保護被膜となってサビの再発を長期間防いでくれます。

